センサー使用の電子機器は40年の実績を誇る エレクトロ・システムにお任せ下さい。
センサーや、センサー回路に習熟した電子機器設計者の数は限られているのが現実です。
なぜならば、様々なセンサーを使いこなすにはデジタル、アナログ双方の知識、経験が必要なだけでなく、
多くのノウハウ(経験)が必要不可欠だからです。
センサー回路の一例をセンサー毎にまとめました。
1. ひずみゲージ
- 構造:
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金属(抵抗体)は外力を加えて伸縮させると、抵抗値が増減します。
それにより、ひずみが生じる測定対象物に電気絶縁物を介して接着しておけば、測定対象物の伸縮に比例して金属(抵抗体)が伸縮し抵抗値が変化します。
ひずみゲージはこの抵抗変化によりひずみを測定するセンサです。 - 特徴:
- ひずみゲージは金属の為、温度ドリフトが有りますが、直線性はとても良いので、アンプ回路によって高精度測定が可能です。
参考回路:
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ZERO点調整回路は必要に応じて入れます。
2. ロードセル
- 構造:
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力に比例して変形する起歪体とその変形量”ひずみ”を測定するひずみゲージからできています。
このホイートストンブリッジからは、印加電圧に比例した非常に小さい電圧信号が出力されます。
最大荷重10g~1000Kg以上の製品が有ります。 - 特徴:
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ロードセルは金属の為、温度ドリフトが有りますが、直線性はとても良く、アンプ回路によっては0.01%精度で重量測定ができます。
参考回路:
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ZERO点調整回路は必要に応じて入れます。
ひずみゲージ・ロードセル回路詳細
ひずみゲージは図のようにホイーストンブリッジ回路にします。
ロードセルはR1,R2,R3もひずみゲージになっています。
ホイーストンブリッジは微小な抵抗変化を検出するのに適した回路でVOUTは
VOUT = VIN(RG R2 – R1 R3)/((RG + R1)(R2 + R3)) になります。
ひずみゲージに重さ(荷重)を加えない時の抵抗値はRG = R1 = R2 = R3 の時VOUTの両端は0[V]です。
ひずみゲージに重さを加えると RG が微小に変化します。それによりVOUTには数uV~数十uVの電圧が現れます。
その電圧をアンプ回路で増幅しA/Dコンバーターなどでデーターを読み込みます。
ひずみゲージの重さとRGの抵抗の変化の直線性がとても良いので、精密な重さが計測されます。
各回路の説明
VIN発生回路
VINの変動はそのままVOUTの変動につながりますので、安定化電源回路を使います。
電圧は10V程度までで、それ以上にすると、ひずみゲージ自体の発熱によるドリフトが影響してしまいます。
電源の出力電流はひずみゲージの抵抗(100Ω~1000Ω)を駆動するため十分な値とします。
電源電圧が±両電源の時はVINの-側はたとえば-5[V],+側は5[V]にすると、重さを加えない時の電圧が0[V]になる為、回路の考え方が簡単になります。単電源の場合には、VIN電圧の1/2の中点電圧を作りその電圧を重さが無い時の電圧として回路設計をします。
シールド
ロードセルとアンプ回路の距離が長い時はVINとVOUTの線を商用周波数の誘導等から守るためシールドをします。このときのシールド電位は両電源の時は0[V],方電源の時は電源電圧の1/2の中点電圧にします。
アンプ回路
VOUTは計装用アンプに入力します。ゲインはロードセルの特性などにより、100~10000倍にします。
その後に必要に応じて、ゼロにする為のオフセット回路や、商用周波数の誘導ノイズの取るなどの為にローパスフィルター回路をなどを入れる場合があります。
ロードセルの誘導が計測値に影響する場合にはA/Dコンバーターのサンプリング周波数を商用周波数に合わせることで低減されます。
フル(スパン)調整
フル調整をする時には、RG,R1,R2,R3の抵抗のどれかに,パラに抵抗を入れブリッジを崩しその出力電圧を調整する(ゲインを調整)することで、希望のフル出力電圧を調整できます。(図のSWとFR)
3. 熱電対
- 構造:
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熱電対は、2種類の金属線の先端同士を接触させて回路を作り、接合点に発生する熱起電力を通じて温度差を測定する温度計です。
- 特徴:
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温度に対して非直線の特性の為、補正が必要です
センサとしては2000℃程度までの高温測定に用いられます
相対温度を測定するため,絶対温度にするためには冷接点補償が必要です。JIS規格熱伝対種類と温度範囲
種類 温度範囲 B 0℃~1820℃ R,S -50℃~1768.1℃ N -270℃~1300℃ K -270℃~1372℃ E -270℃~1000℃ J -270℃~1200℃ T -270℃~400℃ C 0℃~2315℃ この規格から J型熱伝対,K型熱伝対 などと呼ぶこともあります。
参考回路:
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回路詳細説明
熱電対の起電力は数十uV/℃の為入力は計装アンプで受け、ゲインは50~200倍程度になります。
計装アンプ手前のRは電位の固定及び熱電対の断線検出ようになるので、特性に影響の出ない高抵抗にします。
熱電対は相対温度を測定するため、絶対温度にするためには、冷接点補償回路で、常温を測定します。測定位置は熱電対の入力コネクター近くにします。
入力コネクターの位置の温度と冷接点補償回路の温度が違うと直接温度誤差になります。冷接点補償回路にはサーミスタなどを使用します
最近では熱電対専用アンプICが有り、計装用アンプと冷接点補償回路が内蔵されています。
このICを使用する時はICの位置を熱電対の入力コネクター近くにし、ICを発熱させないように重い負荷は避けるようにします。
冷接点補償回路の参考回路は次のサーミスターの項目に有ります。
4. サーミスタ
- 構造:
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サーミスタとは、温度変化に対して電気抵抗の変化の大きい抵抗体のことです。この現象を利用し、温度を測定するセンサとしても利用されています
- 特徴:
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サーミスタには大きく分けてNTCサーミスタとPTCサーミスタが有ります。
NTCサーミスタは温度の上昇に対してゆるやかに抵抗が減少するサーミスタです。温度と抵抗値の関係が簡単な近似式で表されるため、最も使われています。下図代表的なNTCサーミスターの温度-抵抗特性ですPTCサーミスタはある温度をこえると温度の上昇に対して急激に抵抗が増大するサーミスタです。 温度センサのほか、電流を流すと自己発熱によって抵抗が増大し、電流が流れにくくなる性質を利用して電流制限素子として用いられます。下図代表的なPTCサーミスターの温度-抵抗特性です
参考回路:
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回路詳細説明
グラフのように、温度変化に対して抵抗変化が大きいので、参考回路のように、オぺアンプで受けたり、直接A/Dコンバーターに入力させたりしても、誤差の影響にはなりにくいので、簡単な回路で実現できます。
5. ロータリーエンコーダー
- 構造:
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ここではインクリメンタル方式のロータリエンコーダの回路に付いて説明します。
ロータリエンコーダは、入力軸の回転の変位を内蔵した格子円盤を基準としてデジタル信号として出力する角位置センサです。
回転を測定するセンサではもっとも一般的です - 特徴:
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回転させる事により、A相,B相から位相が90度違う2種類のデジタル信号を出します。
回転方向により、位相の位置が変わるため、正転/逆転方向の計測が可能です。(波形図参照)
参考回路:
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入力はプルアップ抵抗を入れてロジック回路で受けます
CPLD,FPGA,CPUのプェリフェラルなどに入力をし、計測を行います。FPGA(CPLD)の時の位相検出回路(4逓倍)と波形です。出力をUP/DOWN カウンターに接続します。
6. フォトダイオード
- 構造:
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フォトダイオードは、光半導体素子のPN接合部に光を照射すると電流や電圧を発生する受光素子です。広い意味では太陽電池も含みますが、通常は光の強弱の変化を精密に検出するセンサーを意味します。
- 特徴:
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入射光に対する優れた直線性を持っています。下図は代表的なフォトダイオードの輝度-短絡電流特性です。
参考回路:
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回路詳細説明
オペアンプの出力電流はフォトダイオードの短絡電流×R になります。
フォトダイオードの短絡電流は非常に小さく、フォトダイオードとオペアンプの距離はできるだけ近くにし、オペアンプの入力リーク電流が少ないFET入力オペアンプなどを使用します。
フォトダイオードとオぺアンプの距離を伸ばさなければならないときは、十分な誘導対策が必要になります。
7. 導電率センサー
- 構造:
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水中に電極2枚を数cmの距離に向かい合わせて通電したときの、2極間の導電率または電気抵抗を測定します
- 特徴:
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水の不純物の測定に適しています。
2枚の金属板を水中に入れ、電気的にはコンデンサーのように振舞います。
センサーには交流電圧を入れ、交流電流を測定します。
水温により測定値が変化するため、常温を別のセンサーで測定して補正する必要があります。
参考回路:
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回路詳細説明
1. 正弦波発振回路
正弦波発振回路はCR発振回路で実現できます。発振周波数はセンサーと使用目的により変わります。
2. ボルテージフォロワー
正弦波発振回路で発振させた正弦波のインピーダンスを低くします。 これにより、水の不純物の大小によりセンサーに流れる電流が変化しても電圧の変化が無いようにします
3. 検出抵抗
1Ω程度の低抵抗を使用し電流を電圧に変換します。
水に不純物が少ないとセンサーの容量が小さくなり、抵抗は大きくなり,逆に不純物が大きいとセンサーの容量が大きくなり、抵抗は小さくなります。
検出抵抗の両端の電圧はセンサーの容量により変化しますが、0~数mV 程度てす。
4. センサーアンプ
検出抵抗の両端の電圧を増幅し、後段の回路(A/Dなど)に必要な電圧にします。
5. 整流回路
交流を直流にし、後段の回路(A/Dなど)に渡します。
8. 光センサー(CdS)
- 構造:
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CdS(硫化カドミウム)を使用した光センサーで。光の強さに応じて電気抵抗が変化する抵抗器です。 人の目の特性に使い分光感度特性を持っています。
- 特徴:
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光が殆どないときは、数十K~数百Kオームの高抵抗ですが、、室内照明程度の明るさで、数Kオームまで抵抗が低下します。
簡単な回路で実現できます。
図はCdSの特性例です。
参考回路:
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回路詳細説明
グラフのように、温度変化に対して抵抗変化が大きいので、参考回路のように、オぺアンプで受けたり、直接A/Dコンバーターに入力させたりしても、誤差の影響にはなりにくいので、簡単な回路で実現できます。